複業の実践:「遊ぶように働く」。失敗を乗り越え、働き方の工夫を通して得た独自の道

今回のキャストインタビューは、フリーライター、コミュニティマネージャー、音楽イベント団体の責任者など、活躍の場を広げている俵谷龍佑さんです。Going・Going・Localでは、山梨県のワイナリーの作り手インタビューを手がけていただきました。今回は、俵谷さんがいまの生き方にいたるまでのお話しや、ご自身が取材するうえで大切にしていること、ゴゴロで働いてみた感想などを伺いました。

■今回お話を伺った人
俵谷龍佑さん
旅しながら働くライター。自身がもつ注意欠如障害であるADD(グレーゾーン)が原因で入社半年にして社内失業しフリーランスになった経験から、発達障害(ADD)の強みを活かし生きていく様子をブログにて公開中。SEO、地域創生、HRに強いライターとしても活動中。音楽イベント団体「MUSICROWD」の運営責任者。ランサーズ「新しい働き方LAB」の京都コミュニティマネージャーも務める。
 ◆俵谷さんのブログはこちら。

■今回携わっていただいたお仕事
・山梨県北杜市のワイナリーシャルマンワイン作り手のインタビュー
 ◆インタビュー記事はこちら

最初の夢はミュージシャン。今の生き方にいたるまで

ーー現在はフリーライター、メディア運営、社会人音楽団体の立ち上げなど、ユニークな生き方を体現している俵谷さんですが、いまの生き方にはどういった道筋でたどり着いたのですか?

俵谷さん:大学に入る前はミュージシャンになりたかったんです。大学に入ってからもずっとバンドをやっていました。大学卒業後はウェブ広告の専門学校に入学しました。1年半ほど在籍していたんですけど、合わなくて中退しました。
専門学校在学中にシェアハウスの立ち上げの話をもらっていたので、その後はシェアハウスの立ち上げプロジェクトに加わりました。でもそれもうまくいかず、そこからは自分1人で独立しました。
何もやり方もわからないまま独立してしまったので、稼げなくて……。正社員として就職することにし、第二新卒で大手IT企業に入りました。
でも、そこの仕事が自分に向いていなくて、半年位で社内失業してしまったんです。そこで頑張るか、転職するか、独立するかの三択を迫られました。
その期間に自分のことをたくさん深掘りして、「音楽で食べていきたい」という初心を思い出しました。25歳だし、これを最後の挑戦にしようと独立を決意し、今に至るという感じです。

ーー壮絶ですね。フリーライターになろうと思ったきっかけって何だったんですか?

俵谷さん:会社を辞めようか迷っているとき、「音楽で食べていく」というテーマでブログを書いているブロガーさんに会いに行ったんです。まさに僕がやりたいことを体現している人で最後はその人に勇気をもらい会社を辞めました。
その時に本気でブログで稼ごうと決意しました。ただ、そうなるとライティングスキルが必要なので、まずはライターを始めました。

ーー現在俵谷さんは「地方創生に強いライター」として活動されていますよね。どういうきっかけでそうなったのでしょうか。

俵谷さん:ライターで単価を上げるとなると、ジャンルを絞ったほうがいいなと思って決めました。
一番の課題は「働き方」なんです。僕はADD(注意欠如障害)という発達障害が原因で前の会社を辞めているのですが、できないことが人より多くて自分に合った働き方を常に考えています。地方創生には「働き方」というキーワードが入ってくることがすごく多いなと感じていたので、これでいこうと決めました。

地方の企業のキラリと光る魅力を引き出す

ーーゴゴロに登録したきっかけについて教えてください。

俵谷さん:もともと「旅しながら働きたい」という想いががあって地方の仕事をしたいと思っていたのですが、今僕が利用しているコワーキングスペース「co-ba chofu」を運営している会社「非営利型株式会社Polaris(ポラリス)」さんが地方創生や働き方といった文脈で事業をされていて、お話をお伺いしたり、最近地方で働き方や地方創生のイベントが増えて、僕も参加するようになって興味が上がっていき、その流れでゴゴロに出会い登録しました。

ーーゴゴロでは実際にどのようなお仕事をされたのか教えてください。

俵谷さん:「シャルマンワイン」さんというワイナリーのホームページに載せる取材記事を制作しました。
最初はサイトの文言の書き換えを依頼されたのですが、ホームページを見ていたら作り手の想いを知れる記事がなかったんですね。それで、当初依頼されていた文言の書き換えに加え「現地に足を運んで作り手の想いを取材して記事にするのはどうですか」と提案させていただきました。

ーーシャルマンワインさんへの取材は、俵谷さんから提案いただいたんですね。

はい。掘り下げたらまだまだ魅力が見つかるワイナリーさんだなと思って。
地方の会社さんって、地元で魅力だと気づかれていないようなところが魅力だったりするんです。ご本人たちにとっては当たり前のことが意外とアピールポイントだったり。そういうキラリと光る魅力を掘り出すのってとてもやりがいがあるんですよね。

ーーゴゴロで仕事をしてみて、大変だったことやなぁとか、逆にやって良かったことがなぁって思うこととかあれば教えてください。

俵谷さん:大変だったのは、長距離の移動が慣れないことですかね。良かった事は初めて訪れる北杜市や、ワインのことを知れたことです。
僕はお酒をあまり飲まないし、ワインにも詳しくないのですが、製造過程はすごく興味深かったです。例えば、ワインの製造は樽の種類、ぶどうの栽培方法、ワインのブレンド方法などをかけ合わせると何通りものパターンがあるそうで、すごく深い世界だなと。ワインの作る過程で酸と糖度の数値を記録しているなど、ワイン造りの裏側も知ることができて、とても勉強になりました。

ーー記事を読んで、お相手の中身を引き出す記事を書かれているなと思ったのですが、俵谷さんが取材において意識されていることなどありますか。

俵谷さん:例えば、業界やその土地の課題、その人自身の課題を調べたうえで対面し「この人は今何に困ってるんだろう」と課題をヒアリングする感覚で行っています。取材してるっていう感覚は、あんまりないかもしれないですね。
それから「本人も気づいてない部分を引き出すこと」をすごく意識しています。他の記事で受けていた質問も僕なりの角度で聞いて、その人も気づいていない部分を引き出すことができたら取材成功かなと思っています。
ただ聞くだけだと話が深くなったりはしないので、その人の中身を引き出すために自分も情熱を持ってやっていますね。

ーー今後ゴゴロに期待することを教えてください。

俵谷さん:来年から東京と京都で二拠点生活を始めるので、京都の案件が欲しいですね!(笑)
案件の数も今後増えていくといいなと思っています。あとは、登録者同士の交流とかが多くなったら楽しいなと思いますね。例えばゴゴロの会員限定でみんなが集まってそれぞれ作業する「もくもく会」をやってみても面白いかも。

ライターを入り口に、自分だけの働き方を

ーー今後、ご自身がフリーライターとして挑戦していきたいことはありますか。

俵谷さん:ライターを入り口にいろいろな仕事をしていきたいなと思っています。
僕の場合は、「記事を書く」だけでなく、書いた記事が検索上位になるためのキーワードや企画を提案したり、メディア設計の観点から、例えば「メディアの方向性として、こんな記事もあったほうがいいと思います」みたいな提案もしたりしています。
記事を書いて提出して終わりでもいいんですけど、それだけだと僕が面白くないんですね。

ーーすごい。ライターとしてだけでは終わらない、独自の仕事をされているんですね。

俵谷さん:そうですね。ライターだけなら僕じゃなくてもできるので、ライター以外のところでもチャレンジしていきたいです。特にSEOに強いので、SEOとかメディア設計という部分でクライアントの右腕のような存在になれればと思っています。

インタビューを終えて

自身の強みも弱みも知ったうえで、強みを最大限に活かして独自の働き方を実践している俵谷さん。その背中は、今後、複業ワーカーにとって必要なことを先陣を切って教えてくれている気がしました。

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中神 早紀

中神 早紀 (クリエイター)

国際教養大学を卒業。大学時代リトアニアに交換留学し多様な国出身の留学生と関わりを持ち、豊かな個性を持つ人々に出会う。帰国後、日本と海外の豊かな資源を持つ人同士がつながる世界の可能性を見出す。語学のほかにツールを手に入れたいと思いIT企業に入社。システムエンジニアとして勤務。趣味で始めたカメラで、カメラを通して世界を切り取ることの面白さに夢中になり、これが知らない世界を伝える手立てになると気がつく。2019年10月トレジャーフットの一員となり、豊かな資源を持つ人同士が繋がることによって生まれる創造の可能性を広げていきたいと思い、活動中。

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