【導入事例:山梨 KEIPE様】新規事業が加速!複業人材が伴走者となり、共に事業の根幹をつくる。

バイク事故によって障がいを抱えた兄に、「働ける場所を提供したい」。そんな赤池さんの想いをもとに立ち上がったのが、甲府市・笛吹市を拠点に障がい者就労支援事業所を運営している株式会社KEIPEです。

「障がい者就労支援事業所には、単調な仕事が多く社会的に意義があると感じられる仕事が少ない」と赤池さんは語ります。障がいを持った方が自らの強みや好きを活かし、活躍できるような仕事を作りたいと、自社EC事業の立ち上げを決断。しかし、山梨にはIT専門人材が少なく採用に苦戦したそうです。そこで力を借りたのが「楽天グループMVP総合第1位受賞経験」もある永井 楽心氏です。複業人材を採用し、どのような成果が生まれたのか、またどのような支援が行われたのか、両者にお話をお伺いしました。

■お話を伺った人

赤池 侑馬
KEIPE株式会社 代表取締役
2013年に千葉大学教育学部卒業後、公立中学校の家庭科・保健体育教員を経て、株式会社EPARKに入社後、自社開発サービスのWEBマーケティングに従事。その後、タイに渡り日系の福祉スタートアップ企業の経営管理を担当。帰国後に埼玉県で就労継続支援事業の立ち上げ・運営に参画しながら、農業生産法人、就労支援事業の開業支援の会社等の新規事業を立ち上げる。2017年に山梨県でKEIPE株式会社を創業。現在は、2020年に創業した株式会社ソーシャルグッドカンパニーの代表も務めながら「働く意思ある人を社会のチカラに」をテーマに活動している。

永井 楽心
株式会社ユニイク
早稲田大学卒。2004年株式会社JTB入社。2006年楽天株式会社入社、楽天市場事業に配属、2012年担当店舗から年間売上最大のショップオブザイヤー店舗を同時に6店舗輩出後、独立。「いいものを持っているのに、言語化・可視化されていないことが我慢ならない」を原動力に、企業やヒトが持つ良さを引き出し、価値を生み出すブランディング、広報・PR戦略・映像プロデュース、新規事業コンサルティング(EC事業)、人材育成研修を行う。

地方ではITスキルを持った人材が不足している

――まず御社のサービスについて教えてください。

赤池さん:甲府市、笛吹市を拠点に、障がい者就労支援事業所をしています。軽度の障がいを持っていて、企業に勤めたいけど勤められない方を弊社で雇用し社会復帰のお手伝いをしています。2020年7月からは、新たにEC事業をスタートしました。

――どのようなきっかけでEC事業を始められたのでしょうか?

赤池さん:障がい者就労支援事業所は、制度の構造上、どうしても単純作業の割合が多くなり、お客様から直接「ありがとう」をいただく機会が少ないのが現状です。なかには、「一体誰が喜んでくれるのだろう?」という仕事もあります。そこで、地域と障がいのある人がもっと深く交わることができる仕事を作れないかと考えたところ、EC事業を通じて、地元の売れない商品を売ったり、地域が盛り上がる商品開発をしたりすれば、「障がいがある人でもこんなに活躍できるんだ」ということを示せると思いました。

また、EC事業はものづくりから顧客のフォローまでさまざまなプロセスがあります。障がいのある方は、体を動かせる方もいれば、管理が得意な人など多種多様です。「こういう仕事をしてください」ではなく、プロセスのなかで自分に向いている、自分が得意な仕事をしてもらうことができます。

――今回、弊社サービスを利用するにあたり、どのような課題を抱えていましたか?

赤池さん:障がい者就労支援事業は認可事業のため、明確な採用ルールが定められています。弊社でも障がいのある方のサポートやケアをする従業員をメインで採用しており、EC事業に知見のある専門人材の確保は、コスト面からみても難しいです。また、地方だとITなど専門的なノウハウや知見を持った人材も少なく採用に悩んでいました。その点、マッチングサービスでは、スキルを持った人材に直接アプローチできてよいなと思いました。

――今回のような人材マッチングサービスを検討し始めたのはいつ頃からですか?

赤池さん:2020年の7月ごろだったと思います。コロナをきっかけに、事業所を拡大しつつ以前から考えていたEC事業をスタートしたいと考えていて、そのタイミングでたまたまトレジャーフットのウェビナーを知りました。そのウェビナーには、今回支援をお願いした永井さんが登壇されていました。

――選定するに至った決め手は?

赤池さん:Web業界出身の私も知らないノウハウや知識を持っていたこともそうですが、私が仕事にかける思いや信念、人柄や価値観に共感してくれたことが決め手となりました。

――導入後は、どのような効果がありましたか?

赤池さん:永井さんに伴走いただいたおかげで、新規事業が走り出せたのがまず大きな一歩ですね。また、新規事業にあたって採用した人材を導いてくれたことも大きいです。事業立ち上げから、徐々に売り上げも増えているので、確実に前に進んでいると思います。

――期待していた以上の効果はありましたか?

赤池さん:EC以外の部分で弊社のスタッフが刺激を受けたのは想定外でした。永井さんはEC以外にも大手企業で人材研修をされていたり、子供向けの教育事業をしたりなど、人としての幅が広くて。
例えば、仕事に必要な物事の考え方を、私が伝えるよりも外部の方から伝えてもらったほうが皆受け入れられたりするので。また、もともと2週間に1回の契約なのですが、毎週ミーティングもしていただき、とても頼りになる存在です。

――フルタイム社員と比べると、かかわる時間や深さに差が出ると思いますが、そのあたりはどうでしたか?

赤池さん:もちろん事業責任者として入ってもらうのがベストですが、永井さんのスキルや実績だと間違いなく割りに合わない気がします。そういう意味では今の距離感がちょうど良いかもしれません。結局、マッチングサービスは発注側が当事者意識をもって進めないとうまくいかないと思っているので、そこはすごく意識しています。

――コミュニケーション面で不足はありましたか?

赤池さん:チャットで質問したり、必要ならオンラインでミーティングしたりするので、コミュニケーション面で不満はなかったですね。僕自身、コンサル業をしていたので分かるのですが、担当しているクライアントが多くなると一人に割く時間はどうしても少なくなるんですよね。ただ、永井さんにはそれを感じなかったです。

――では最後に、御社のビジネスの今後の展望を教えてください。

赤池さん:地域で活躍の場を探している障がい者の方々に、活躍できる場を提供するのが僕らの仕事です。弊社の経営理念は「心が満たされる場・働く喜びを伝える人をつくる」です。そのためには、まずはサポートする私たちが楽しく仕事している姿を見せることが大切です。特に障がいのある方は、ヒエラルキーからはじかれた経験を持っているので、EC事業を通じて、「仕事って面白いね」や「社会と関わるのは大変だけど喜びを感じられて、心が満たされる」と思える仕事を作っていけたら良いなと思っています。

「地方創生×マッチングサービス」というキーワードに魅力を感じた

――ここからは、プロ人材である永井さんにお聞きします。まず、現在されているお仕事について教えてください。

永井さん:企業や個人が持っている魅力を最大限に引き出し、それを世の中に発信してお金や人を動かす仕事をしています。法人向けでは、主にブランディング、プロモーション、新規事業コンサルティングなどをしています。

また、企業の成長が人を創り、人の成長が企業の成長を創ると思っているので、内部人材の活性化という文脈で、コーチングやプレゼンテーション、ポジティブ心理学を使った研修を大手企業から中小企業まで幅広く展開しています。

――今回、弊社サービスを利用しようと思った理由や背景を教えてください。

永井さん:前職は楽天で、楽天市場事業のコンサルタント職に従事していて、地方の中小企業と一緒に仕事をする機会がありました。そのなかで、「磨いたら光る」みたいな瞬間に出会うことが多く、楽しさを知りました。だから、今でもとんがりがあってキラリと光る企業が好きなんです。今までは、自分が訪問できる範囲の首都圏のお客さんだけでしたが、コロナでオンラインがベースになり、日本中の企業と接点を持ちやすくなりました。「よし、地方の企業さんと仕事をしよう」と思った矢先に、トレジャーフットが地方創生という文脈でマッチングサービスを展開していることを知り、登録したのが最初のきっかけです。

――企業からアプローチをもらうために心がけたことはありますか?

永井さん:トレジャーフット主催のウェビナーに参加して、「自分もやってみたいし、できそうだな」と思って、セミナー開催の提案を持ちかけました。

オフラインでみんなが学べる場を作るのがとても得意で、300~400人くらいなら一人で仕切れるんです。ただ、コロナでオフラインのセミナーができなくなってしまいました。落ち込んでいても仕方ないので、これを機にウェビナーもやってみようと、ちょうど練習の機会を探していた頃でした。

いざやってみたら、予想以上にセミナーの集客があり、毎月60~70人は来ていました。そのなかから商談化したのが20件くらいで、トレジャーフットにもメリットのあるセミナーになっていたのかなと思います。

伴走者として、事業をゼロから作る”メンバー”として関わる

――今回、関わったプロジェクトについて詳しく教えてください。

永井さん:EC事業のアドバイザーとしてジョインしました。アマゾンで商品をどう売るか、どう商品を探すかというリサーチのサポートがメインではありましたが、KEIPEさんのなかにはノウハウがなくて、ゼロから仕組みや土台を作ることが課題でした。何のためにやるか、どこに行きたいか、何を理想としているかなどコンセプトを形にするところにも触れていきました。

――なぜ、KEIPE様のお仕事を受けようと思ったのでしょうか?

永井さん:トレジャーフットから「ぜひ、面白いから赤池さんに会ってほしい」と紹介されたんですね。率直に、バリバリ仕事を伸ばしたい野心家というのが第一印象でした。やはり伸びる会社さんのお手伝いはしたいじゃないですか。それが一番リアルなきっかけだったと思います。また、私自身、かねてから多様な背景を持つ方々と一緒に仕事をしたいと思っていて。以前、とある参議院議員の方のSNS運用やPRを担当していました。その方は障がい者施設や児童養護施設、介護の分野を立法から手助けしていたのですが、間接的な関わり合いだったので、もっと現場の状況や声を知りたいと思っていました。現場にいる赤池さんは、押し付けの貢献意欲や優しさで運営しているのではなく、事業として成長させるチャレンジを通して、働いている障がい者の方々の生き方すら変えていこうとされていて、そこにものすごく惹かれました。

――課題解決のために特に意識したこと、注力して取り組んだことはありますか?

永井さん:もともとの契約では2週間に1回でしたが、細かく日々の小さい進歩をみんなで作ることが重要と感じたので、「毎週1時間でいいからミーティングしよう」と提案しました。立ち上げ時期に、2週間に1回のミーティングだと頻度が低すぎて何も起きないですよね(笑)。

――では最後の質問になります。今後の展望について教えてください。

永井さん:今までは、プロジェクト単位でディレクターさん、デザイナーさん、カメラマンさんと一緒に仕事をしていましたが、もう少し継続的に関わる人を増やしたいと思っています。テレワークが進み、働き方が多様化して副業・複業を解禁する企業が増えていますが、現役で企業に勤めている人のスキルは非常に高く有用だと思っていて、こうした複業人材やプロボノといった人たちを活かさない手はないな、と。とはいえ、フリーランスや一人社長にとって、複業人材の方々が参入してくることは脅威でもあります。ただ、それは時代の流れだし、巻き込んで仲間にして、もっと新しい価値をみんなで創造した方が良いなと思っています。

スキルだけでなく、理念やビジョンで人をマッチングしてくれるのが魅力

――ここからはお二人に質問します。もっとこんな機能・サービスがあったらいいなといった要望があればお聞かせください。

永井さん:もしかすると、赤池さんは私に「こうしてもらいたい」みたいな要望を直接言いにくかったかもしれません。トレジャーフットに、要所要所で間に入ってもらったり、進捗の簡単なチェックをして頂けると、サービスのバリューはさらに上がる気がしますね。

赤池さん:僕は全然言いにくい感じはなかったですね。ゼロイチから伴走していただけて満足しています。ただ、万が一トラブルが起こったときに、トレジャーフットにフォローしてくれるとありがたいです。また、登録しているプロ人材のスキルが可視化されていると、よりマッチング率が上がるかもしれませんね。たとえば「ECのなかでも、永井さんはこの領域に強い」みたいに。

――スキルセットが見えると、よりミスマッチが起こりにくくなるかもしれませんね。

永井さん:例えば僕という人間にタグが付いていれば、じゃあこのタグは任せられるとなるけど、タグが見えてないと、クライアントとキャストがお互いに探りながらコミュニケーションをとらないといけない手間はありますよね。

赤池さん:先ほどお話しした「永井さんには、ECの支援をお願いしたのに、人間的な部分を教わる」みたいな予想を超えた効果や価値があるから、それはそれで面白いと思いますね。なぜ、永井さんと良好な関係が続いているかというと、意思決定前に新規事業をやりたい理由や、今回どうして自分にお願いするのかなど、根底のすり合わせをしてくれたからなんですね。ただのスキルマッチングではない部分にとても価値を感じましたね。

永井さん:単なるスキルマッチングだとファンクション同士のお付き合いになりますからね。ファンクション同士で十分な人もいますが、そうなると人間味がなくなるかもしれないので、一長一短ですよね。

――最後に、登録を検討してるけど迷ってる方にメッセージをお願いします。

永井さん:赤池さんの第一印象は、良い意味で勢いがあり、正直、結果至上主義で怖い人なのかなと思っていました。でも話すと、もっと根が深くて、土台を作りつつ枝葉を生やす人ということがわかって応援したいと思ったんです。トレジャーフットには応援したいと思える企業さんが多いです。赤池さんはまさにそれを象徴する人というか。野心家であり社会起業家でもあって、すごくまっとうなマインドを持っているんですよ(笑)そういう人にはなかなか巡り合えなくて。それがトレジャーフットの魅力だと思います。

赤池さん:トレジャーフットは、やみくもにマッチングするのではなくて、理念やビジョンを押さえて人を大事にしています。「きれいな川の近くに美しい花は咲く」ではないですが、よどみがないんですね。

純粋にトレジャーフットに自分の想いをぶつければ、それにふさわしい人がいれば返答があるし、いなければまた次の展開があるし。柔軟に対応していただけるサービスかなと思います。

龍佑俵谷

龍佑俵谷 (フリーランス/新しい働き方LAB)

大手IT企業でリスティング広告の運用業務に従事。その後ライターとして独立。グルメ、留学、睡眠、健康、経営、マーケティングなど執筆数は1000本超。SEOと読みやすさを意識したライティングには定評あり。特に、HR,地方創生というテーマが強いです。音楽サークル「MUSICROWD」の代表で、本職のSEOを活用し、ほぼWebのみで集客。LINE@会員数は1400人超。2020年からは、ランサーズの新しい働き方LABの京都キャンパスのコミュマネもスタート。2021年から京都⇔東京の二拠点生活に向けて準備中。

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